あらすじ・内容
HOME > あらすじ・内容

FLYER IMAGE
チラシイメージ

INTRODUCTION
あらすじ・内容

気候は何者かに操られていた。

真冬の北の大地に吹く海風は、突き刺すように冷たくて、多くの者達は貝のように口を閉ざした。

「私は貝になりたい」

貝になった人々は次々と死に、
その死体の山が幾重にも層をなして貝塚となったものが、
後の世に発見されて社会の教科書にまで載ったことで、彼女は学ぶことができた。

彼女は人々をだまさねば救えないと考えた。
大きな蛤をいくつも煮詰めて、その吐息を集めたガスで、皆に束の間の幻を見せた。
やがて貝殻は開いて蝶になり、彼女の周りをひらひらと舞った。
その些細な蝶の羽の動きが、周り巡って気候を変えた。
真冬の大地に春がやってきた。

「蝶のように、マイベイビー」

繰り返し。

ところで彼女には師匠との約束があった。
二十年後のその日に、もし空が晴れていればまた会おうと師匠は言い残した。
彼女は二十年後のその日の天気を事前に知りたかった。

気象予報士達は必死で“姫”の思いに答えようとしていた…

    
Facebook
Facebook
Facebook
Facebook
Facebook